事の始まり

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さとう あき この名前には、2人覚えがある。 何でそんな面倒なクラス分けにしたのか知らないけど、どっちも高3の時のクラスメイトで、どっちも佐藤亜樹と書く。 但し片方は男子だったから、男子の方は佐藤、女子の方は亜樹と、皆呼び捨てにしていた。 いくら何でも男子の佐藤亜樹は無いだろうけど、女子の佐藤亜樹だって想像し辛い。 女子の佐藤亜樹は見た目は当時からセクシーさが溢れていて所謂“男好きするタイプ”だったし、しょっちゅうナンパだのスカウトだのされていた。 ただそういう慣れと男慣れを兼ね備えていたから一蹴していたみたいだし、何より年下を好んでいたんだ。 高校生の癖に、年下好き…。 いや、そこは置いとくとしてもだ。 そんな亜樹が親父の彼女になっただなんて、どうしても解せない。 けど、その安直なマンガみたいなのが俺が突き付けられた現実。 亜樹の顔を見たら、何で親父なのかぐらいは訊かないとおさまらないだろう。 ギリギリのラインで、俺は土曜日を覚悟しようと決めた。
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