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寝るには窮屈なソファーでも、転た寝というのはなかなか心地よかったりする。
下手に爆睡したら体が凝るし、寝返りを間違えたら落下ついでにテーブルにぶつかってしまうけど…。
だが今回の場合、そんな心配は無かった。
幻覚のように脳味噌に届いてきた親父の声が、次第に明確になっていく。
「起きなさい」
と体を軽くポンポンと叩かれてうっすらと目を開けると、確かにそこには仕方ない奴だと言わんばかりの顔をした親父が居た。
「あ、お帰り…」
俺の声はまだ寝惚け声で、ゆっくりと覚醒していく。
そしてゆっくりと体を起こし親父の背後に人が居るのを見付け───
俺は固まった。
確かに卒業してから全く会ってなくても判る佐藤亜樹が、所在なさげに立っていた。
だがそれは亜樹じゃなくて、佐藤の方。
つまり、男子の方の佐藤亜樹だった。
(え…??)
頭が回らない。全く回らない。
この瞬間だけは、2人がゲイな関係を築いてしまったのか?という発想さえ浮かばなかった。
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