十六夜レモネード

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「ちょっと、待ってください!」 その叫び声が彼女を元の世界に呼び戻す。 気づけば、高層マンションの蛍光灯も、動き回る車のライトも、街をかたどる街灯も、全てそこにある。 さっきの景色の間息を詰めていたせいで、彼女の呼吸は荒くなっている。 何だったのかよくわからなくて、レモネードをあおろうとした時、 「す、すみません!助けてください!」 さっきと同じ声が聞こえた。 だが、周りを見回してもどこにもいない。 「だ、誰なの?何処にいるの?」 「ここです!縁の所にいます!」 「縁?」 彼女は屋上の際により注意深く見てみる。 すると、屋上の縁に手を引っ掛け、しがみついている男がいた。その男の背には鳥のような羽が付いている。
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