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「いやー、落ちたせいで羽の存在忘れてました」
「……」
軽快に笑う男。
現実を受け止めきれない彼女は何も言えない。
「初めまして、宵越月乃(ヨイゴシ ツキノ)さん」
「何で、私の名前を……」
「僕は天使ですからね。ニーヘアリアスメスと申します。〈ニーハ〉とお呼びください」
ニーハと名乗った男はパッと明るい笑顔を見せる。
天使とか、そういった存在を信じていない彼女だが、目の前で飛ばれてしまったからには信じざるを得ない。
明らかな外人顔による流暢な日本語にも戸惑いを隠せず、彼女は逃げる事にした。
「助かって良かったですね。それじゃ、私はこれで……」
「ま、待ってくださいよ。僕は貴女の自殺を止める為に堕ちてきたんです!」
ニーハの言葉に、彼女・宵越月乃は振り返ってニーハを見つめた。
そして恐る恐る自分の手首を見る。
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