十六夜レモネード

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「いやー、落ちたせいで羽の存在忘れてました」 「……」 軽快に笑う男。 現実を受け止めきれない彼女は何も言えない。 「初めまして、宵越月乃(ヨイゴシ ツキノ)さん」 「何で、私の名前を……」 「僕は天使ですからね。ニーヘアリアスメスと申します。〈ニーハ〉とお呼びください」 ニーハと名乗った男はパッと明るい笑顔を見せる。 天使とか、そういった存在を信じていない彼女だが、目の前で飛ばれてしまったからには信じざるを得ない。 明らかな外人顔による流暢な日本語にも戸惑いを隠せず、彼女は逃げる事にした。 「助かって良かったですね。それじゃ、私はこれで……」 「ま、待ってくださいよ。僕は貴女の自殺を止める為に堕ちてきたんです!」 ニーハの言葉に、彼女・宵越月乃は振り返ってニーハを見つめた。 そして恐る恐る自分の手首を見る。
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