1人が本棚に入れています
本棚に追加
ここはレイダーという町である。春夏秋冬と季節によってさまざまな色を見せる。最近は割と涼しくなり出してきた。冬が近い。
「おう、嬢ちゃん!今日もがんばりなよ!」
たくましい腕を振りながら鍛冶屋のタンクさんが笑顔で私に言う。
「頑張ります!」
私はぐっと握り拳を胸の前に持っていき答える。
「タンク、砥石余ってないか?」
いつの間にいたのか細身のフードをかぶった男が私の横からタンクさんに尋ねる。
「おう、相変わらず影が薄いね、あんちゃん」
そういって笑いながらタンクさんはごそごそとそばにある砥石を男に渡す。
「レインさんおはようございます」
「ん、おはよう」
フードの男レインさんは砥石を受け取りながら私の挨拶に答えた。
「おみゃぁいつも暗いニャ」
アイルーがそういっていつもの笹を咥える。
「はは……あまり顔を見られるのは恥ずかしいので……」
レインさんはそういってフードの上から頭をかく。
「え~、レインさんイケメンなのにもったいないですよ?」
私がそういうとレインさんはやめてくださいと苦笑する。
「あんちゃん、今日はどこへ行くんだい?」
タンクさんがそういって煙草を咥える。
「今日は渓谷あたりに行こうかと思ってます」
「渓谷!私も!いたっ!何するのジーク!」
私の言葉を遮るように足に蹴りを入れてきたアイルーをにらみつける。
「おみゃぁには渓谷はまだ早いニャ。それに今日はドスランポスを狩りに行く約束があるニャ」
「う~、でも……」
そういってレインさんを見る。彼は苦笑する。
「嬢ちゃん、ジークが言うようにまだ渓谷は早いぞ」
タンクさんがそういって砥石をこちらに放る。
「わわっ」
慌てて砥石を受け取りタンクさんを見る。
「それやるから今日はおとなしくジークとドスランポス狩りに行きな。最近増えてるからな」
「そうニャ、ドスランポスを狩ってとりあえずは素材とお金を貯めるニャ」
「心得その二、千里の道も一歩から……」
私が不満そうにそういうとジークは苦笑いしながらニャとうなずいた。
最初のコメントを投稿しよう!