ニヒルな坊主②

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ロビーに降りて専務が降りてくるのを待っているなり、意外なことが起こった。 なんと、立て続けに2、3人の外国人男性に声をかけられたのだ。 白人男性やアラブ系の男性、それにアジア系男性が、皆代わる代わる私に声をかけてきた。 どの人もハンサムで、いかにも裕福そうな人達ばかりだった。 私の心境としては、あまりの突然の出来事に驚いて、すっかり毛が逆立った猫状態となっていた。 皆、とりあえず私を和ませようと、簡単な英語で話しかけてくれているのは分かった。 これまで、日本でナンパされたことなどただの1度もなかったというのに、外国にきてこのナンパの嵐って。 これはもうひょっとして、ナンパというより新手の詐欺なんじゃないかと疑ってしまう。 本当に、何なんだろう。 亨を失ってからというものの、私の前にはイケメンばかりが目の前に現れる。 ひょっとしたら、亨を失ったショックで、私の瞳はおかしくなってしまったんだろうか? 本当は物凄くブサメンなのに、イケメンに見えるフィルターが知らないうちに網膜に装着されてしまっているとか? いやいやいや、それはない筈だ。 パチンコなんて生まれてこのかたやったことがなくて、お祖父ちゃんの話でしか聞いたことないけれど、大当たりが出続けることを確変と言うらしい。 私の今の男性運とやらも、ひょっとしたら、その確変という時期に出くわしているのかな。 モテ期絶賛継続中、か。 美味しい話といえば美味しいけれど、如何せん自分が男を何人も手玉にとって遊ぶような悪女タイプになれないことは、自分自身でよく分かっている。 それに何より、もう既に選んじゃってるから。 1番大好きな人を。 人を待ってますからと言って2人かわし、3人目に対しても、いつも会社で猫100匹のお面を被っている時のように、愛想笑いでごまかしていた時だった。 「俺の女に、気安く声をかけるな」 えっと思って後ろを振り返ると、そこには物凄く不機嫌そうな顔をしてやってくる専務の姿が見えた。
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