ニヒルな坊主②

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抱き合った後の名残惜しさがなんとなく残っても。 それでも、言い様のない寂しさだとか虚しさだとかはない。 それはこれからの今日1日、ユウマと一緒にいられるからだ。 流石に、外でいちゃつける程の若さとかはないし、ユウマも世間の注目を浴びている分、あまり目立ったことは出来ないと思う。 それでも、やっぱり嬉しいもんは嬉しいもんねっ! 「奈津、どこに行きたい?」 「うーん……抹茶パフェ食べたい!」 新幹線に乗って京都へ着くなり私がそう言うと、ユウマがフッと微笑んだ。 「絶対そう言うと思った」 絶対って。 どんだけ私は食い意地はってると思われてるんだろ。 「京都って言ったら、抹茶パフェ食べないと始まらないし」 京都と言えばフツーは寺だろ、寺。 あれ?何で? 今、松永専務のツッコミの声が聞こえた気が……。 分かってますってば。 自分でも何言ってんだって感じだけど、せっかく来たんだし。 仁香とも何度か京都へは旅行で来たけど、その度に食べに行ったし、抹茶パフェ。 こう……何て言うか、京都で抹茶パフェは私のルーティンワークなのよね。最早。 それに、いつも抹茶パフェ食べてるカフェは、時間を選んで行かないと、2時間とか余裕で並ばなきゃだしだしなぁ。 …………。 ユウマを、若い女子の群れ(←列)の中に立たせる訳にはいかないし。 今のこの時間帯なら、まだ開店時間より前だから、多分そんなに並んでない筈なんだよね。 朝食は2人とも食べずにここまで来ちゃったから、小腹は空いてるし。 私のそんな思惑を見透かしていたのか、ユウマが頷きながら言った。 「俺は大丈夫だけど、奈津はお腹空いてるだろうしな」 そう言ってから、私の耳元で囁いた。 「昨夜は色々あったし、激しかったしな」 ボンっ!! 「も、もうっ!」 一瞬にして真っ赤になっているであろう私の顔を見ながら、ユウマが楽しそうに笑って。 それから、ごく自然に、私の右手を握った。 「行こうか」 「……うん」 ヤバいよヤバいよ。 ……何だろう。 これだけで、もう既に楽しいっ!!
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