THE THING

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「ふ、二人?」 元々面識も無く、互いにほとんど会話をした事さえない。 そんな相手と二人?一緒に帰る? 「何?人見知り?」 「認める」 「ハッハッハッ!何もデートじゃないんだから!」 「でもせっかく入部したんだからさ、色んな意味で仲良くなりなよ」 「色んな意味って何だよ!」 「別にやましい意味じゃないよ。部長は部長で悩みがあって、人格像があって……ただの変人じゃないからね」 「……え?」 変人じゃない? タクヤンの言う通り、どう見ても頭が腐っておかしくなった女子高生にか見えなかったが…… 「じゃあね!お疲れ様!」 そう告げ、平等院はカバンを背負い廊下を歩いて行った。 「部長への挨拶は?」 「別にいいの!そこらへん適当だから!」 「……」 それは気楽なのか、雑すぎるのか。 良し悪しが判断できないまま部室へと戻った。 「あー暇、暇だー」 そこには机に頭を乗せて落ち込む赤神の姿があった。 「ど、どうした?」 「アナタの友達に逃げられた。平等院とメガネは?」 メガネ? あの生徒だけ本名で呼ばれないあたり、扱いの雑さを察する。 「帰ったみたいだな」 「帰った!?挨拶も無しに?何なのアイツら!馬鹿じゃないの!?」 「キーィ!退部にさせたい!私をナメ腐って!」 「……まぁ、いいや」 「一緒に帰る?」 赤神は何気ない表情でそう問いかけた。
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