oblivion

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    …………  その奇妙な店は、光一つ無い暗闇の中に浮かんでいた。  少なくとも店の中からの景色はそう見えた。  外はどうなっているのかは、よく分からない。気が付けば自分は店の中にいたし、どうやってここに来たのか、そもそも何故ここにいるのかも覚えていなかった。  大体ここは何の店なのかも判然としない。本当に店なのだろうか。  整然と並べられた同じ高さの棚が、店の奥どこまでも続く。  レイアウトは整然としているのに、並べられている物は雑然としている。  いかにも手描きのポップは、カラフルな手塗り感溢れるムラがある。  奥が見えないほどの広さなのに、店内はどこか閉塞感に満ちていた。  どこからも続いていない。  どこにも繋がっていない。  ここが世界の果て。  ――どうしてだろうか、そんな感想が浮かんだ。
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