ちらし寿司

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ーーあれから、二十年たったんだな。  今に想えば中学三年の二学期は、大人と呼ぶにはほど遠い年頃だった。  それでも恋をしたなら、大人への階段を一歩も二歩も登った気でいた。  初めてのデート。 「明日、お弁当作って来るから」  そう言った彼女の頬は、紅く染まっていた。  その日、彼女は重箱にちらし寿司を詰めて持ってきた。
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