鎌イタチの里

13/20
前へ
/95ページ
次へ
「まーちゃん凄いよね、時代劇で見た辻斬りなんて比べ物にならなかったよ」 「まあね鎌イタチって辻斬りのスペシャリストでしょ?近づいた事も斬られた事も分からないってお化けより怖い」 まーちゃんが出て行ったあと、興奮した私達は絶賛していたが、いざ自分がやるとなると難しい。 双棒から出た太い刀を、見せてもらった真剣に近づけるのすら一苦労だった。 瑠里は二本の刀を芭流のお守り発信に移動する事からのスタートだ。 今に思えばカマキリの時から刀は出ていたので、凱の力の一部だと再確認できる。 それを芭流発信に変えるなんて容易く出来るのかも疑問だった。 いきなり斬っても今までと同じだと考え、まずは刀に神経を注いだ。 お化けのように気配を消し一瞬で相手を仕留めると言えば『居合い』の雰囲気がイメージされる。 時代劇で居合いの達人が瞬時に敵を倒すシーンは何度か見て、うろ覚えだが頭の隅にあった。 「そういえば居合を使う時代劇見たよね?でもあれよりもっとスマートだったよね」 「鞘に収めたのさえ分からない位早いし、音もしてない。居合のシリーズはさぁ、イチイチ刀を収めて集中してって感じだったから効率悪いよ」 確かに夥しい数を処理する場合は向かないと思われる。 「でも少数だったらいいかもよ?辻斬りだっていっぺんに100人倒さない筈だよ」 ここも山奥なので静かだし、たまに聞こえるのは鳥なのか獣なのか分からない鳴き声だけ。 意識を集中させ竹を斬ってみたが、刀が少し長い気がしたのと動作が全然エレガントではない。 「だめだ、私らには上品さのかけらもない。いつも怒鳴り散らして攻撃してるからかな」 まーちゃんをイメージして練習し、何時間経ったか分からないが瑠里の刀に青みと赤みを帯び出した。 「なんかいい感じじゃない?忍者だとその位の刃先で良さそうだし、凱の力で俊敏に動けるからサマになりそう」 気をよくした妹は忍び風に練習用の竹に近づくと、気合を入れた声を出し叩き斬った。
/95ページ

最初のコメントを投稿しよう!

85人が本棚に入れています
本棚に追加