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「まーちゃん凄いよね、時代劇で見た辻斬りなんて比べ物にならなかったよ」
「まあね鎌イタチって辻斬りのスペシャリストでしょ?近づいた事も斬られた事も分からないってお化けより怖い」
まーちゃんが出て行ったあと、興奮した私達は絶賛していたが、いざ自分がやるとなると難しい。
双棒から出た太い刀を、見せてもらった真剣に近づけるのすら一苦労だった。
瑠里は二本の刀を芭流のお守り発信に移動する事からのスタートだ。
今に思えばカマキリの時から刀は出ていたので、凱の力の一部だと再確認できる。
それを芭流発信に変えるなんて容易く出来るのかも疑問だった。
いきなり斬っても今までと同じだと考え、まずは刀に神経を注いだ。
お化けのように気配を消し一瞬で相手を仕留めると言えば『居合い』の雰囲気がイメージされる。
時代劇で居合いの達人が瞬時に敵を倒すシーンは何度か見て、うろ覚えだが頭の隅にあった。
「そういえば居合を使う時代劇見たよね?でもあれよりもっとスマートだったよね」
「鞘に収めたのさえ分からない位早いし、音もしてない。居合のシリーズはさぁ、イチイチ刀を収めて集中してって感じだったから効率悪いよ」
確かに夥しい数を処理する場合は向かないと思われる。
「でも少数だったらいいかもよ?辻斬りだっていっぺんに100人倒さない筈だよ」
ここも山奥なので静かだし、たまに聞こえるのは鳥なのか獣なのか分からない鳴き声だけ。
意識を集中させ竹を斬ってみたが、刀が少し長い気がしたのと動作が全然エレガントではない。
「だめだ、私らには上品さのかけらもない。いつも怒鳴り散らして攻撃してるからかな」
まーちゃんをイメージして練習し、何時間経ったか分からないが瑠里の刀に青みと赤みを帯び出した。
「なんかいい感じじゃない?忍者だとその位の刃先で良さそうだし、凱の力で俊敏に動けるからサマになりそう」
気をよくした妹は忍び風に練習用の竹に近づくと、気合を入れた声を出し叩き斬った。
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