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私達無色の刺繍チームは両生類・爬虫類メインだが、昆虫や四足動物は刺繍に色がついてからの仕事になる。
でも合宿で背中に羽根を背負った者や、水中から攻撃してきた鬼の面の事を考えると、レベルが上がるにつれて空や水の敵も増えると予想される。
運良くたまたま水鉄砲の攻撃が出たが、ああいう場合のトレーニングはどうすればいいのか全く分からない。
「水辺のトレーニングってどうやるのかな?誰にも教わってないから分からないよね」
話しかけたが集中してるのか返事がない。
振り返ってみると瑠里は手裏剣を持ったままあれこれ頭を悩ませているようだ。
「私は飛んで来た敵が気になってる、あの羽根いいよね……かなり欲しい」
肩を掴まれ木の上にさらわれた瑠里は、空の敵が気になったらしい。
とはいえ新たな武器を出す訳ではなく、手持ちの武器を何とかしようとするのが瑠里らしいと笑いが出てくる。
「手裏剣では空は飛べないって、かしわ餅も岩みたいに大きくしてたけど、もっと新しい可能性に挑戦してみたら?」
「……大きくか」
ブツブツ言いながら手裏剣を触ってるので、もう少し後で話しかけようと放っておいた。
まずは犬螺眼をバージョンアップさせたいが、どうやっていいのか全く分からない。
今のままではイザリ眼と大して変わらないので、他にどうすればいいのか凱に聞きたい位だった。
『もっと何かある筈なんだよね』
イナリですら知らぬ間にレベルが上がっているのに、私達がこんな状態では呆れ顔をされそうだ。
物を弾いたり、カマキリの首を吹き飛ばした記憶ぐらいしかないので、試すといっても勇気がいる。
頭を悩ませながら考え込んでいると、後ろからシュンシュン……という音と共に、少し風が吹いてる気がして振り向いた。
「なに……してんの?」
瑠里は手裏剣を大きくした物を目の前で少し浮かせて回転させている。
あんな物が回転すると、草刈り機の刃だけ回っている状態で物騒で仕方ない。
出来るだけ部屋の隅に逃げて、声を大きくした。
「危ないって!そんなの回されて間違ってこっちに飛んできたら大変だから!」
瑠里は手裏剣を1メートル以上拡大しているので、こちらも必死だ。
回転スピードをあげた手裏剣は静かに瑠里の足元まで下がると、何を思ったのか手裏剣の中心にトンッと乗りだした。
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