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「鬼ごっこ改め般若ごっこにしてさ、ここまで来てもらうとかぁ?」
「無理だって!あの般若意外と小心者で手裏剣乗れないから」
私は苛立つ気持ちを堪え、下で歯をギリギリと噛みしめて拳を握っていた。
キツネが二匹揃うと羽根つきの時みたいに、いつも人の悪口を言ってくる。
無視してイメージトレーニングの続きに入ろうとすると、ワザワザ移動して自分達が乗れると見せびらかしにきた。
「やっぱさ、手裏剣に乗れないってどうなんだろ?般若なのにさ」
「ワシなんてすぐに乗れたよ?これって凄くなぁい?」
ウザいくらい近づくので、手裏剣の回転する風で少し髪が靡いている。
キツネの自慢が加速していくとイライラがどんどん膨らんでいく。
「見て、ワシ手裏剣の上で座る事が出来た!」
「私も座れた、ごめんね~乗れない人……いや、般若の前でぇ」
私はゆっくりと手裏剣狐の前に移動すると、犬螺眼を使って二人を黙って弾いた。
「わっ、わわっ!」
バランスを崩したキツネ達が手裏剣から落ちたが、驚く事に又拾い上げキツネ達を上に乗せたのだ。
「ーーはあ!?」
ポカンとしていると二人も驚いていたが、落ちてないと分かった途端笑い声が響いた。
「ププッ残念でした~、手裏剣はきちんと飼い主を判断して助けてくれましたぁ~!」
「そうかい……」
今度は双棒から針金を出し、手裏剣の上からキツネ二匹を捕獲して壁に叩きつけた。
「ーーぐほっ!」
二人が床に落ちると、手裏剣は回転を止め元の大きさに戻りカランと床の上に転がっていた。
急にビクつくキツネ達に、腕組みをして立ちはだかる。
「まず手裏剣って乗り物じゃねーだろ?それに防御ガラ空きだと攻撃されたら終いだよな?浮かれてんじゃねーよ」
「……怖いよね、すぐ本気で怒るしさ、ちょっと嬉しかっただけなのにね」
社長がいい訳に入ったが、ギロッと睨みを利かせてから口を開いた。
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