背後の気配

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「弦達あれ終わると移動しますよね?このまま並んでるとマズいかも」 「あっそっか、瑠里の後ろで待機します」 列から外れVRつけた瑠里の後ろに立つと、ゲーム中にも関わらず気になり思わず話し掛けた。 「ねぇ、それ面白い?」 「ぐわっビックリするじゃん!ジャンプ失敗したよ……てか、ちょっとやりたいんじゃないの?」 「そうじゃないけど、瑠里が欲しいなら買ってもいいかなって」 デートの尾行をし、挙げ句の果てにゲームに興味を持ったとは口が裂けても言えない。 ガラではないけど、満天の星空を見てみたいし海外旅行も一回くらいは行ってみたい。 すぐには無理そうなので、バーチャルでもいいから旅行気分を味わいたい衝動にかられそうだ。 「あれ、もしかして興味持った?」 「ううん、ゲームは無理だけど自宅に居ながら海外旅行は気になった」 体験時間が終わりゴーグルを外して台を降りると、まだ名残惜しそうにゲームに目をやる妹に、買おうと決心が固まった。 「これからランチでしょ、それから本体買って終わり?」 「その予定だけど姉さん達も一緒に来れば?ワオンさんは肉食べれるでしょ?」 そうだ、その手がある。 私は肉以外の物を食べて、ワオンさんを理由について行けばいいのだ。 弦がこちらに歩いて来たのでご一緒したいと言うと、あからさまに嫌そうな顔をされた。 邪魔以外の何者でもないが、同行して無事に終われば啄達も安心するし、ゲームを買う相談も妹と出来る。 「百合さん肉苦手でしょ?ワオンさんは女性に食事合わせるべきだよ」 何とか来させない作戦に頭を捻らせているようだったが、急に表情を変えて棒立ちになってしまった。 青ざめたというより、蛇に睨まれた蛙のように動きが止まっている。 リーダー達が降りて来たと仮定しても、図太い性格の弦がここまで怯えるだろうか。 瑠里と目が合うと次の瞬間、私とワオンさんの腕を引いて早歩きになった。 「猿はあの場に捨てて行こう、恐らく…誰か来た」 瑠里について行ったが、まだ後ろを振り向く勇気は出ない。 「待って、俺だけ置いていくつもり?」 弦が私の腕を掴みながら歩幅を合わせている。 「放して、私達は関係ないから!変な事に巻き込まないで」 弦の腕を叩いて外そうとすると、置いていかれてなるものかとばかりに力を入れてきた。
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