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「武器はチカラを使って出すか、周りの物を同様に操ってもいい。俺らの獲物は水晶の置物で、金庫に入ってるから取り出したらクリアだ」
うっちゃんについて城下町を走り出す。
夜の見張りの役人が居ると身を隠し、本当に盗人になった気分だ。
標的の邸宅の門をジャンプすると、瓦の上に着地する。
時代劇で見る偵察役の気分で楽しくなってきた。
「見ろ、周りは水に囲まれているからイザとなったら武器に使い、目当ての蔵はあそこにある」
住人は眠っているのか部屋の明かりは灯ってない。
武家屋敷みたいだが、見張りは居ないのかとドキドキしていた。
うっちゃんが地面に着地を決め、私も後に続く。
蔵の鍵を開けようとした時、大声が聞こえてビクッと肩を竦めた。
「出たなコソ泥!ウチに押し入るとはいい度胸だ、叩き斬ってくれる!」
静かだったのは寝静まっていたからではなく、罠を張られ見事にかかったみたいだ。
蔵の鍵はまだ開けてないし、後ろは壁で前には敵が8人位こちらに刀を向けている。
うっちゃんは刀を手にしたので、私も双棒で刀を出す感じで気合を入れた。
『えっ、ちょっと待って』
刀を出すどころか気合いが具現化しているのか、オーラがどんどん大きくなっていく。
手から身体全体に広がり、敵まで巻き込みそうな位に膨らんでいった。
「ヤバい、何かいつもと違って上手くいかな……」
「ーーパリーン!」
音と共に私のサングラスは割れ、煙が出たのですぐに外すと元の部屋の景色になった。
うっちゃんが電気をつけると、リストバンドも焦げていてサッサと外し苦笑いで誤魔化した。
「やっぱ要領が違うと戸惑いますねっ、壊しちゃったのかな?ちょっとサングラス割れたけど、ゲームだから元に戻るのかな?」
「いや、実物壊れてるから戻らないけど怪我はない?俺の方こそ百合を見くびりすぎてたみたい、実験台どころか化け物だったわ」
うっちゃんは目をキラキラさせリモコンでドアを開け、こーちゃんも部屋に戻っていて瞬きを繰り返しこちらを見ていた。
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