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背後の気配
「明日の予定は入ってるか?」
「いえ瑠里とトレーニング予定ですが、まだ声掛けてません」
「なんで早く聞かねーんだよ!」
「はあ?いつ聞こうが勝手でしょうが!」
唐突に電話を架けてきて、明日の予定にイチャモンを付けられた私は、声を荒げて対抗していた。
「野郎……瑠里をデートに誘いやがった」
「えっ、誰なんですか?」
思い当たるのは最近付きまとっている弦か八雲さん辺りだが、なんでリーダーが知ったのかも分からない。
「とりあえずコンビニ前で集合だ、いいな!」
ブチッと切電され、仕方なくデニムに履き替えてオヤツを買いに行くと自宅を出た。
コンビニ前のベンチには無色チームの男性メンバーが座っている。
リーダー、和音さん、啄の順だが三人並ぶとタイプが違いすぎて違和感がある。
プライベートで一切関わりがなさそうなメンバーだからだ。
強面と爽やかさんとボンレス体型、しかも私の方を三人がガン見している。
「どうしたんですか?気持ち悪いんですけど」
「ごめんね百合さん、俺がたまたま弦から聞いて、リーダーに相談したらこんな感じになってる」
和音さんが申し訳なさそうに謝ったが、弦が瑠里をデートに誘ったところで相手にしないだろう。
むしろ弦の方が、瑠里に振り回されないかと心配する位だ。
「瑠里は俺達の大事なメンバーだ、あんなチビに取られて仕事に影響が出ても困る」
リーダーは真剣に言っているが、私がどうでも良さそうな顔をしてると早速睨まれた。
「だから……瑠里はあの猿忍者なんて相手にしませんよ、受けたとしたら絶対に食べ物です」
「姉として万が一とか心配じゃないのか!」
ボンレスにツッこまれると、何故かイラッとしてすぐに口応えをした。
「じゃあ、アンタらの身内がデートに行くからっていちいち心配するんか?余計なお世話だろうが、小学生じゃあるまいし」
「女だぞ!八雲ならまだしも、あんな猿に瑠里は渡せん」
どっちかと言えば八雲さんにデートに誘われたと聞いた方が姉としては不安だ。
心配してくれるのは有難いが、男のプライド的な感じも見え隠れしている気がする。
リーダーと啄は自分の恋愛が上手くいかないから、猿に先を越されるのが腹立つというのもありそうだ。
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