盗人ゲーム上級編

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盗人ゲーム上級編

「暇つぶしどころか最大限に頭を使わないと、この泥棒団のボスは倒せないぞ」 「そうだな……女にフラレた怒りも吹っ飛んで目が覚めたよ」 二人が話をしてる間ゲームを壊した私は、弁償しろと言われたらと思うとビクビクして部屋の隅に立っていた。 「どうした?威勢が引っこんで借りてきた猫みたいになってるけど」 「不可抗力とはいえ壊したから……高価そうだしどうしようかと」 「あぁ心配いらねー、むしろイチからやり直しだし壊してくれて良かったよ。でも上級編はそうはいかないぞ」 二人はやる気満々だったが、そろそろ戻らないと滋さんに怒られそうだ。 事情を説明すると残念そうに元の場所まで案内してくれた。 「明日も空蝉屋来るから百合も来るだろ?」 「さぁ、聞いてないので分かりません」 行きは迷ったが帰りは兄弟が一緒だったので、すんなりとドアまで辿り着いた。 滋さんは刺さるような視線でこちらを見ていたが、こーちゃんは全く気にせず部屋のドアをノックしている。 中から蕩尽さんが出てくるとかなり驚いた様子で兄弟を見つめていた。 「凄いの連れて来たな、初級ぶっ壊したぞ……明日も連れて来いと頼んでくれ」 「坊ちゃま……部屋を出て来られるとは珍しい、記念撮影でもしましょうか?」 「百合、明日も待ってるぞ」 蕩尽さんの言葉はスル―され、挑戦的な笑みを見せた二人が廊下の奥へ消えて行った。 「有難うございました、百合さんのおかげです」 「いえ、とんでもないです」 機械を壊してるので苦笑いしか出ないが、蕩尽さんは満足そうに何度もお辞儀をしていた。 歩兎さん達は昼食を食べる為部屋を出たが、私達はいい匂いを我慢して姿を見守る。 元の場所に戻ってドアが閉まると、リュックからパンを出し頬張って我慢していた。 立ちっぱなしで足もダルいし、今夜にでも家に帰りたい気分だ。 部屋に籠りっぱなしの歩兎さん達はシステム関連の情報交換をしているようだが、内容も全く分からないしその場にいてもうたた寝しそうだ。 出て来たのは夕方近くで、車に乗ってホテルを目指したが、警護が終わるまでホッとした時間は訪れない予感がしていた。 「今夜手に入れた情報をウチの者に渡すけど、そちらさんも人は交代するの?」 「いや、明日まで俺ら担当」 その言葉を聞くと淡い期待も崩れ落ち、ガックリと肩を落とした。
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