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──三島純太、高校二年生。
俺が17年間生きてきて、一番驚いたこと。
それは小学校四年生の時。
友達と遊びすぎてしまった帰り道。日はすっかり暮れて、細い三日月が空の裂け目のように浮かんでた。
その月を見上げて、叱られた時の言い訳を考えていたら、三日月の横をジグザグしながら昇っていく白くて丸い物体を見たんだ。
ゆ、UFOだっ!
UFOは一瞬動きを止めたあと、シュン! とすごいスピードで上昇しながら空に消えた。
あまりにも驚いて、文字通り口をポカンと開けて暫く空を眺めたあと、じわじわこみ上げてくる高揚感のままに走り出した。
興奮して家に駆け込み、「UFO! UFO見た!」と母ちゃんに叫んだけれど、「UFOの前に、遅くなってごめんなさいでしょ!」と叱られた。
子供ながらに、「こんな奇跡の出来事よりもお説教が先なんて、大人って情緒がない」と思った記憶がある。
……のだけれども。
今日、そのビックリ記録が更新された。
「お前が好きなんだ!」
親友からの突然の告白。
──森谷太一
どっからどう見てもれっきとした男子高生に、俺のビックリ記録は書き換えられたのだった。
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