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「お前、なんなの? そのイテテテ詐欺」
背中に腕を回された格好で文句を言いながら、速まる心臓の音が聞かれてしまうんじゃないかと焦る。焦ると更に鼓動が勢いづくから困ってしまう。
「詐欺じゃなくてホントに痛いよ。けど、嬉しいから痛くない」
「痛いのが嬉しいとか、ドMか」
「違うよ。嬉しいのはやっと純太が来てくれたから。いつも外から眺めるだけで帰っちゃってたから……」
見られてた!
「……だって、彼女がいるところに来たくないじゃん。俺、邪魔じゃね?」
「彼女じゃない」
「は? だってお前」
「純太を忘れたいから、付き合えば忘れられるんじゃないかと思ったけど……やっぱそんなの無理だし、なにより相手に悪いし心が痛むし。バスケ部連中が来た日にあの子がいたのは誰かが知らせたみたいで……。とにかく付き合ってないっ」
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