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マジか……。
ほっとして強ばりの消えた背中を、太一のあの熱い手のひらがそっとなぞった。
もたれた肩は広くて固くて、鎖骨の窪みに鼻を押し付けると、日向のような太一の匂いがする。
「ねぇ、喜んでいいんでしょ? 純太がここにいてくれること」
髪を撫でながら問われて、また泣きたくなった。
「ん」
鼻声を隠すように短く答えると、太一の顔がこちらに向いて耳元に囁かれる。
「やっぱり俺、純太が好き。誰にも代えられない。この気持ちを消すこともできない。純太だけなんだ。純太しか好きになれないんだよ、俺」
「うん」
照れ臭くてその先が言えない俺を身体から引き離すと、壮絶な色合いの目元を引き締めて、俺を覗きこむ太一。
「だからね、ちゃんと聞きたい。純太の気持ち」
ひっくり返りそうな心臓を深呼吸で落ち着かせ、俺も隠さない今の心を見せるように太一に向き合った。
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