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「太一が、好きだ」
たったひと言を口にしただけで、重くて後ろめたくてヒリヒリしていた心が軽くなった。
「太一が好きだって認めるのが怖くて、それなのに嫉妬したり腹立てたりどんどん嫌なやつになっていって、そんな俺にしたのは太一のせいだって思ったりして、でもお前がいないと寂しかったし遠くなっていくのが悲しかった。生きててくれて嬉しかったのに、お前の姿を見たら苦しかった」
堰を切ったように溢れる言葉は支離滅裂で、けれども心はどんどん軽くなる。太一はそんな俺を優しく見つめてくれていた。そのあたたかさが軽くなった心になだれ込んできて、胸がいっぱいだった。
「なにが言いたいのかわかんなくなっちったけど、とにかく、俺も太一が大好きだバカ!」
「バカは余計だってば」
泣き笑いの顔が近づいてきて、俺たちは、今度こそ想いの通じあった深い深いくちづけを交わした。
触れあった部分が全部あったかくて、太一がここにいて生きてるんだって思ったらまた少し、涙がでた。
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