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自覚した気持ちを伝えてしまったあとは、悩んでぐるぐるしていたのが嘘のように心は満たされて、『好き』の度合いは毎日更新されている。
今まで見逃していたような小さな癖や、今日のような大胆さとか、知らない太一を知るたびに、あいつが愛しくてたまらなくなるんだ。
「純太、おまたせ!」
息を切らして駆けてくる太一のシャツの襟が立っている。俺を待たせないよう急いで来たのがわかってまたニヤニヤしてしまう俺と、俺に襟元を直されてニヤニヤする太一。
見事にバカップルだ。
とは言え……。
晴れてカップルになった俺らだけど、キスから先には進んでいない。
俺は気持ちを外に出したとたん幸せに包まれちゃってて、今の状態で満足なとこもあったりして。
性欲満タン当たり前な思春期男子としては、この枯れっぷりに危機感持たなきゃなんないのかもしれない。
けど、太一がただそばにいてくれる……っていう事が、どんなにありがたくて嬉しいことか。事故の時のあの恐怖を思い出すと、そんなふうに思うんだ。
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