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灯真くんのことを考えるだけで、胸の鼓動が高鳴る。 この鼓動が聞こえるくらい、灯真くんの近くにいたいのに‥。
‥会いたい。 灯真くんのことが好きで好きで、たまらない‥。
「灯真くん‥。」
「‥燈。」
「え‥?」
懐かしい声で、ふいに呼ばれた自分の名前に、わたしは顔を上げた。
「よぅ‥。」
「うそ‥。」
オレンジ色に染まる灯真くんの姿が、照れくさそうに手を挙げていた。
「灯真くん!」
わたしはおもわず駆け寄り、灯真くんの体に抱きついていた。
「コラ‥。くっつくな、恥ずかしいヤツ‥。」
「だってぇ‥。」
ひねくれながらも、灯真くんは優しくわたしの頭を撫でてくれる。
「ほら‥。泣くなって‥。これからはずっと、おまえの側にいてやるから‥。」
「それって‥?」
「い‥言わなくても、わかるだろ‥?」
「やだ。言ってくれなきゃわからないよ。」
「やだって‥おまえな‥。」
灯真くんの答えを待つように、わたしはじっと目を見つめる。
「だから‥、俺の‥彼女になれ‥。おまえが好きだ。」
「ふふ‥。はい。」
照れくさそうに頬を赤く染めながら言った灯真くんの正式な言葉に、わたしは笑顔で頷いた。
「燈。ただいま。」
「お帰りなさい。灯真くん。」
オレンジに染まる夕焼けの中、二つのシルエットは並んで歩きだした。
Fin..
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