きたかぜ

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** * 「‥これコピーお願いします!」 「はい!」 「集計できた?急いでね!」 「は、はい!」 全然片付かない‥。結城先輩が少しいないだけでこんなに要領が悪くなっちゃうなんて‥。 まるで嵐でも来てるように、アタフタと落ち着きない音があちこちから聞こえる。 「あっ!?」 ふいに一人が出した大きな声に、皆が振り向いた。 「あ!いつの間にか雪が降ってる。」 「こりゃ‥吹雪そうだな‥。」 「そんなぁ‥。まだ全然片付いてないのに‥。帰り大丈夫かな‥。」 さっきまでの狂気に似た空気から、一気に落胆の声が広がる。 「やけに寒いと思った‥。」 生徒会室に広がるため息の中、柚月は風で「ガタ‥ガタ‥」と鳴る窓の外をジッと見つめた。 ‥夜になると、もっと冷えるかも‥。 結城先輩‥大丈夫かな‥。 風邪‥ひどくならなければいいけど‥。 *** こんなにゆっくりするのは、初めてだ‥。 毎日、受験勉強と生徒会の仕事に追われてたからな‥。 生徒会の皆に頼られて、尊敬されていたけど‥。いつも一人きりでいるような気持ちだった‥。 生徒会長も、本当はやりたくなかった‥。 皆の期待を裏切れなくて、嫌だと言えなかっただけ‥。 でも、君が生徒会に入って来た時から自分の中の何かが変わった。 誰かを本気で好きになるだけで、こんなに世界が変わるなんて。 君のことをもっと知りたい。 ‥そう思っているのに。 手が届く距離で君を感じるだけで、格好悪いくらい何も話せなくなってしまう‥。 そんなことを考えながら、駿一は再び窓の外を見つめる。 「‥明日、この雪‥積もるかな‥。」 ‥早く風邪を直して、また君に会いたい‥。
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