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あ、灯真くんだ‥。
沈みかけた夕日が照らす帰り道で、少し前を歩く、見に覚えのある夕焼け色に染まる背中を見つけた。
‥こうして見ると、やっぱり“カッコイイ男の子なんだな”って思う。 ‥口を開けばひねくれてばかりだけど。
「ん‥?」
〈ドキッ!?〉
ふいに振り返った灯真くんと、わたしは目が合った。
やだ、恥ずかしい‥。ずっと見つめてたこと気づかれてないよね‥。
灯真くんの視線から、わたしは慌てて逸らした。
今が夕方で良かった‥。 絶対にわたしの顔、赤くなってるから‥。
「おまえ‥いたのか。」
「う‥うん。」
「いるなら声くらいかけろよ‥。」
「ご‥ごめんなさい‥。」
ぅ‥。灯真くん。怒ってる‥?
恐縮しながら慌てて謝るわたしに、呆れたように小さくため息を出し‥。 柔らかく言い直して、灯真くんは改めて話しかけてきた。
「‥おまえ、帰り道こっちなのか?」
「う、うん。」
「ふ~ん‥。じゃあ、俺と同じ帰り道なんだな。」
「そうなんだ‥。」
知らなかった。たまたま前を歩いていただけだと思ってたのに。
「この道、いいよな。ずっと海見ながら帰れるし。」
「うん。わたしもこの道、好きだよ。」
「だろ?」
「‥!?」
そう言いながら振り向いた灯真くんの笑顔に、わたしは心臓が一気に高鳴った。
灯真くんのこんな笑顔、初めて‥。 やだ‥。またドキドキしてきちゃった‥。
「行くか。」
「う、うん。」
灯真くんの言葉に、わたしは小走りして、彼の横に並んだ。
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