0人が本棚に入れています
本棚に追加
***
はぁ‥。すっかり遅くなっちゃった‥。 日直って大変‥。 ‥でも、おかげで雨が止んで良かった。
あれ?あの背中は‥
「灯真くん?」
雨が上がった校庭の隅で、木にもたれ掛かりながら立ってるオレンジの背中に、わたしは話しかけた。
「よう。遅かったな。」
「え‥あ、うん。日直だったから‥。」
「そうか。じゃあ、帰ろうぜ。」
「え‥?」
わたしに帰りを促すような声をかけ、歩き出した灯真くんの背中を、わたしは目をまるくして見つめる。
「‥帰らないのか?」
「帰るけど‥。灯真くん。もしかして‥わたしのこと、待っててくれたの‥?」
そう言ったわたしの言葉に、少し顔を赤らめて? 灯真くんは、慌てて返事を返す。
「ほ、ほら‥。どうせ同じ帰り道だろ?ついでだ‥。行くぞ。」
そう言いながら、再び背中を向け、灯真くんはサッサと歩き出した。
「あ、待ってよ。灯真くん!」
自分でもよくわからない気持ちだけど‥。 灯真くんが、わたしを待っててくれたことが、すごく嬉しい!
そんなことを思いながら、前を歩く灯真くんの背中を、わたしは追いかけた。
最初のコメントを投稿しよう!