古シャツ屋

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【ブルーのポリ混 形態安定】 久しぶりに古シャツ屋のシャッターが上がった。 赤いジャケットのルパン三世が着るような、濃い青色のワイシャツがハンガーに掛けられていた。 海人が古くて重いドアを開け、入店する。 「司。おはよう。久しぶりに開店だね。さてシャツを見せてくれないか?」 「いいよ」 海人が青シャツをハンガーから外し、先ずは鼻に寄せて匂いを嗅ぐ。 「年は35くらいのリーマンかな。決して高級ではないけど、濃い色の青シャツは、ちょっと自分に自信がないと着れねぇよな。ネクタイは黄色だったとか?」 「よく分かったなぁ。ルパンを想像したんだろう?」 「そういうこと。似合ってた?」 「当たり前だよ。だからこうやって販売してんだろ」 「そか。お前のタイプの男なら、間違えねぇな」 その後、海人が内側のタグを見て残念そうに呟いた。 「残念だけど俺のサイズじゃねぇな。煙草の匂いもするから、煙草好きが買うだろう」 「わかった」 「でもこのシャツはカッコいいから、直ぐ売れるだろうな」
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