古シャツ屋

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翌朝、店のシャッターが2日ぶりに上がった。 ハンガーに掛けられていたのは昨日の就活生が着ていた、レギュラーカラーの白シャツである。 「おいおい、興奮して寝られなかったぜ。早く見せろよ」 その白シャツの襟や袖の汚れは、予想していたほど酷くはなかった。まだ購入して半年以内なのだろう、黄ばみも見られない。問題の匂いはというと、微妙な匂い。ワキガのような、ワキガでないような・・・。就活生という事で香水は敢えて付けていなかったのだろう。 でも、2人の脳裏には、まだあのイケメンの爽やかな笑顔の偶像が焼きついていたため、不思議とエロくて良い匂いに感じてしまう。やっぱりイケメンは得だよな、と思う瞬間である。 「買うのか?買わないのか?」 「いくらだよ」 「いっただろ、10000円だって」 「ちょっと考えさせてくれ」
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