アトピーの弟

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小学6年生の実花は、仕事で忙しいお母さんとアトピーのある弟大地の3人暮らしです。 ある日、実花の近所に安い定食が食べられる「子ども食堂」ができました。 でも、大地はアトピーを抱えているため、食べられないものが多いのです。 大地を連れた実花は、子ども食堂の前の看板メニューをじっと眺めていました。 すると中からエプロン姿のおばさんが出てきました。 「あらあら、何か迷ってる?」 おばさんは優しい笑顔で実花たちにたずねました。 「あっ・・・あの、弟は、アトピーで食べられないものが多いんです。」 「まかせてっ。 さあ中に入って。何が食べられないか紙に書いてくれる?」 おばさんに言われ、実花たちは店内に入りました。 紙を見たおばさんは、ふむふむと言って、厨房の中へ入っていきました。 数十分後・・・ 「おまたせ~」 おばさんが、実花と大地、2人分の定食を運んできました。 そこには、オムレツやからあげ、ヨーグルトまでありました。 「このオムレツやからあげやヨーグルトは、植物性のもので作られてるの。 からあげは大豆だし、ヨーグルトは豆乳よ。 だから安心して。」 大地は、すっかり喜んで、不思議でおいしい定食を食べ始めました。 「この子ども食堂はね、アトピーの子も食べたいもの、おいしいものを食べられるように色々工夫してるのよ。」 おばさんはそう言ってウィンクしてみせました。 実花は、大地が本当においしそうに食べてる姿をじっと見ていました。 こんなにいきいきした大地を見るのは久しぶりです。 アトピーの弟大地と一緒に同じものを「おいしい」と言って食べられる、そんなことが本当にうれしくてなりません。 「また来ます。今度はお母さんも一緒にきます。」 実花は元気よくおばさんに言いました。
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