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俺は抱えてた、爪の入ったレジ袋を男に渡す。
「、、、、本当に、、剥いで、、こられた、、の、ですね」
自分で申し付けたにも関わらず、男は心底信じられないとでも言いたそうな顔をして、僕の爪を受け取った。
そんな態度に怒りが湧いてくる。
「まさか、あなた冗談で爪を剥いでこいなんて言ったんですか?」
いつもは男の不気味さからか、あまり踏み込んだ事は言えなかったのだが、なぜか今日は口に出す事ができた。
「、、、いえ、まあ、、爪でも剥いで、、来なければ、お金を、、渡せなかったのは、、事実、、、なのですが、、やはり、、本当に、、やってこられ、、ると、、、末恐ろしい、、と、、表現するほか、、、ありません。」
男が掠れた声でそんな事を口にする。
こんな不気味な男に恐れられるほどの異常性を自分が秘めているという事に、決して少なくない嫌悪感を抱く。
「やっぱり、僕はおかしくなってしまったんでしょうか?食事も喉を通らないし、、、、やっぱり、金の為に爪を剥ぐなんてイカれてるんでしょうか?」
「、、、、、、、」
「いつの間にか、、、僕の彼女とも連絡がとれなくなって、やっぱり、、僕はこの『店』に来てからおかしくなったんじゃ、、!」
僕が独りでに感情を漏らして呻きだすと、目の前の男は、これまた驚いたようにこちらを見つめ、スッと目を細めると
「、、、突然、、何を、、仰るか、と思えば、、、ははは、はははは」
掠れた声の後にわざとらしく笑い始めたのだった。
「、、、何が、、何が可笑しいんだ!」
「ははははは、いえ、、いや、、、よくいるんですよ。自分が捧げたものをすぐ忘れてしまう方が、、」
「何を、、言って」
突然、いつしかのように男が饒舌になった。
「本当に、覚えていらっしゃらないのでしょうか?、、、」
「、、、は、、」
動悸が治まらない。
何を言っているんだこいつは
「あなたでしょう、彼女さんを質に入れたのは、、、」
「、、、、へ?」
目が泳いでいる自覚があった。視界が定まらず、一点を見つめていようとも、本能がそれを拒む感覚が眼球をしっかりと掴んでいた。
・・・・・・・彼女を質に?
・・・・・・・僕が?
・・・・・・・なんの為に?
・・・・・・・金の、為に?
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