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結局昨日は夕飯を食って颯爽と帰っていったアイツ、桐嶋岳。
よほど気に入ったのかまた食べにこいとしつこく誘う母さんに眩いばかりの笑顔で応答していた。あの詐欺師め…
「おーッス!」
昨日のことを思い返しながらぼけっと通学路を歩いていると突然ドン、と強い衝撃と首に回された腕に驚いて思わずつんのめる。
「っ!、…なんだ小吉かよ」
「なにその冷たい反応!おまえ見つけて走って来た健気な俺に対して!!」
「はいはいよしよし。」
つれない対応にぐりぐりと頭を押し付けて来たので適当になぐさめておく。
朝から元気よく突進して来たこいつは相良小吉。家が隣で親同士の仲もいいことから1番付き合いの長い友人だ。
なんだか昨日の今日ということもあって無意識に身構えてしまっていたらしい。
「つーかおまえまた絡まれたんかー?なんか怪我増えてね?」
「昨日ちょっと。…大体俺が絡まれるのお前のせいだからな」
この髪、と自分の髪を引っ張ってみせると抗議の色を示すおれとは裏腹に小吉は気分良さげにぐしゃぐしゃとかき混ぜてきた。
「うはは、いーじゃんいーじゃん似合ってんよ!流石オレ!」
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