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「勝手に話進めすぎだろ!…はー、こいつらと話してると調子狂うわ」
小吉は祥太郎の無邪気な笑顔に毒気をぬかれたようで、疲弊したようにため息をついてはいるものの、先ほどのような敵意は感じなくなった。
確かにイタズラの度が過ぎているところはあるが、悪い奴のようには見えない。
それに、つるんでいればそのうちおれが風紀委員長になる気が無いということも理解してもらえる、はず。
小吉が俺の意見を求めるようにこちらに視線を寄越したのを見て1つ頷くと、やれやれといった様子で肩をすくめて笑った。
「ま、俺たちもわざわざ争いたいわけじゃないし。そーいうことならよろしくな。そのかわりこいつに危害加えたらぶん殴るからなー」
「だってよ、祥太郎」
「俺だけかーい!あは、なになに俺だけ初期好感度低い感じ~?」
「日ごろの行いじゃない?」
「だな。」
「うわひでー!ハジメなんとかいってやってよ~」
小吉と廉太郎に冷たくあしらわれた祥太郎は俺を盾にするように背後から腕を回してきた。
俺の身長は平均より高いはずなのに、祥太郎とは頭一つ分違うようで俺のつむじに顎を乗せて泣き真似をしている。
俺は小吉以外にあまり仲の良い友人はいないから、こんなふうに騒がしいのは久しぶりで思わず笑ってしまった。
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