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「そうだ、あんたよくも変な放送流してくれたな…」
「まあそう怒るなよ。どっちみち噂が一人歩きしてんだ、はっきりさせた方がいいだろ?」
小吉のはなしで昼の放送のことを思い出したおれは少し高い位置にある桐嶋岳の顔を強く睨みつけるが、当の本人は満面の笑みだ。
こうも悪びれる様子もなくいわれるとなんだか自分だけ怒っているのがアホらしくなってきた。
ため息をつくと桐嶋岳は笑ってわしゃわしゃとおれの頭をかき混ぜる。
「勝手に放送したのは悪かったよ。あんまりゆっくりもしていられない状況なもんでね」
「おれは、風紀委員長になるつもりはない」
「今はそれでいいさ。でもキッチリ番犬はしてもらうぞ。約束したもんなあ?」
ぐちゃぐちゃされた髪の毛に眉をしかめると手を振り払うが、桐嶋岳は大して気にしていないようだ。
風紀委員長の肩書きはおれたちの中で大きな意味を持つ。
キッパリとおれの意思を伝えたにも関わらず、桐嶋岳は全く諦めるつもりはないようで包帯の巻かれた左手をチラつかせるとニヤリと笑った。
…ほんと意地が悪い。
「ともかく色々話しておきたいこともある。行くぞ」
「行くってどこに…」
おれの問いには答えずスタスタと歩き出す桐嶋岳に仕方なく付いて行くと、二階の突き当たりにある風紀室とかかれた扉の前に連れて来られるが、気になることがいくつかあった。
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