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振り向きざまに放たれた若者の横薙ぎが
男の肋骨を重く圧(お)し撫でた
だが、その刀筋はほんの僅かに大振りで
殺意が乗り過ぎている
白刃から伝播する動揺
焦りをさらに重ねて疾る
止(とど)めの一閃
だが、その時点で既に下策
沈み込んだ姿勢から
こちらが放つは二閃
空を這う蛇の如く
一の太刀が、こめかみをするりと抉(えぐ)り
返す二の太刀で、滑らかに喉を舐めた
やがて、蝉の音が戻ってくる
ふと、我に返って見下ろせば
己の脇腹に長く走る刀筋
河原の砂上に咲く朱い飛沫
滴る液体が
熱い痛みへと転じる頃
背後で何かが倒れる音がした
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