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重心が見えた
刃が来る
その刀筋を僅かに避けて
横に回り込む
対する若者は手首を返しながら
さらに間合いを詰めてくる
ここで後ろへ下がると
その勢いを真面(まとも)に受けて
守りを強いられる
故(ゆえ)に、敢えて此方も一歩踏み込む
川風を纏った切っ先が袖を掠めた
構わず、右へ抜ける
若者の背を斜め後ろから捉えて
ここで初めて、刀の柄に手を掛けた
途端、弾ける様に前方へ跳ぶ若者
正しい反応だ
だが、既に刀筋は見た
互いに動かぬまま
視線を交える
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