ave ― 鳥 ―

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 破れたガラス窓から差し込む朝日が、埃まみれの地面に幾何学模様を描いている。  昨夜来の湿っぽい冷気がかすかに緩み始め、夜が明けたことを肌で知った。  夜中に幾度も目を覚ました。  愛用の寝袋。この分厚いシェルですら、この地方の晩秋の冷え込みには抗しきれないらしい。  貧乏旅に栄養不足が追い打ちを掛けて、疲労が抜けきらない。寝袋にくるまったままの身体を芋虫の様にモゾモゾと動かせて、埃っぽい地面を這う。  こわばった身体を窓からの朝日に晒して、微かな温もりを暫時むさぼる。  ここは、街から5キロ程離れた荒野に打ち捨てられた駅舎。  建設中に放棄されたのだろうか。構内にはまだ建築資材や工具類が散乱したまま、埃を被っている。  どういった理由なのか知る由もないが、旅の羊飼いから教えてもらったこの場所は、確かに良い滞在場所だった。  だが、流石に野宿には厳しい季節になりつつある。  数日前に野犬の群れを見掛けたし、そろそろ次の場所へ移動するタイミングかも知れない。
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