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ここで、私がたどり着いたこの「ガリシア地方」について、少し説明をしておきたい。
日本でスペインというと「光と陰、情熱の国、乾いた大地、闘牛、フラメンコ、パエーリャ」といったステレオタイプなキーワードで語られることが多い。
しかし、これらは主に南部の文化に端を発する要素であり、このガリシア地方は趣を大きく異にする。
地理的にはスペインの北西部に位置する。南はポルトガルとの国境、東はアストゥリアス州とカスティーリャ・イ・レオン州との州境にそれぞれ接していて、北と西はひたすら長大な海岸線が続く。大西洋とカンタブリア海を望むリアス式海岸だ。
気候は意外にも一年を通じて穏やかで、降雨量も豊富。鉄道の車窓から見える針葉樹林の山深い景色は、植相の違いにさえ目を瞑れば、日本の山間部のそれと見間違える程の濃緑色。スペイン中南部の荒野に疲れた眼を潤してくれる。
そして、最後に。
州都であり、聖地巡礼の終着点でもあるサンティアゴ・デ・コンポステーラは観光地としてそれなりの賑わいを見せ、他にもいくつか中規模都市があるにはあるが。
端的に言うと、やはりヨーロッパ最西の辺境の地。小さな町や村に足を踏み入れると、もはや僻地、秘境といった感がある。
建築、生活様式、住民達の服装。
自分がまるで中世ヨーロッパに迷い込んだかの様な錯覚を覚える。そんな場所だった。
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