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初めて訪れる街で最初に取る行動は、人によって様々だろうけど。
私はまず、宗教施設を訪れることにしている。
スペインだとカトリックが主な宗教なので、教会や大聖堂がそれに該当する。
多くの場合、それは街の中心部に位置していて、周囲には主要な生活インフラが配置されている。文字通り、人々の生活の中心。
そこで数時間、出入りする住人達を観察しながら過ごせば、その街の雰囲気が何となくつかめるような気がする。
場合によっては、礼拝に訪れる住人、神父や修道士と言葉を交わして、街の歴史や主要施設の配置、お勧めの宿を教えてもらう。
しかし。この村の場合、歴史はともかくとして建築物の配置は一目瞭然だった。
教会、墓地、民家と船着場。それがすべて。商店街やレストラン、バルはおろか、宿泊施設もないことが一目で見て取れる。
ヒッチハイクした車に降ろされるまま、ここに辿り着いたが。
まだ日も高い。もう少し大きな街へ移動するか。
そんなことを考えながらも、私はとりあえず、教会の入り口に立った。
小ぢんまりとした教会に相応しい、木製の小さな扉。
吹きつける潮風が白い斑点状にこびりついたそれを、押したり引いたりしてみた。開かない。
神の家もシエスタ中なのか。さて……
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