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「...よく言った。気に入ったよ、うちにおいで」
まだ怒っている父親らしき男。
それを無視して私の手を引くその女の人。
父親らしき男はまだ文句を言っているけど...
「あんたに迷惑はかけないわ」
きっぱりと女の人がそう言うとそれ以上はもう何も言ってこなかった。
「...あんた、お腹すいてるんでしょ、食べな」
そこにあったのは、普通の白米と、豆腐の入ったお味噌汁、きゅうりのお漬物だった。
私は夢中で食べた。
泣きながら食べた。
とても美味しかった。
それからは、母親には会ってない。
その女の人と父親らしき男の人と3人でくらした。
裕福だったわけじゃないけれど、その女の人は1日3回のご飯をくれたし、私を高校まで出させてくれた。
そして、私は30になった。
あの人のおかげで...私は今日も生きている。
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