腐敗、光

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腐敗、光 ずっと ずっと前から オレは 先の見えない 鼻にへばりつく生物が腐っていくニオイと 足を引っ張るヌメヌメした液体の中で 前へ ただ前に 進んでいる 顔の皮膚は焼けただれたように熱く 背中をいばらのムチで撃たれ続けているような激痛が襲う 足の… 足の感覚はもうすでにない ふいに頭上で大きな音がして オレの目の前に大粒の石と砂が降り注ぎ 細い光が現れた オレは必死でそれを掴もうと 身を乗り出したけれど 手は空を切って 体は勢い良く 汚水の上に叩きつけられた 起き上がる気力もなく 何もかも嫌になってしまって 仰向けになって 上を見上げると 光の先には 真っ青な空が 小さな穴から無限に広がっている 顔はひどく痛むけど 太陽の光は暖かくて 涙がこぼれ落ちた 滲む視界 失われていく感覚 冷え切った体 叫べ 全身を震わせて 喉が枯れるまで 叫べ 悲しみも 怒りも 愛おしさも 喜びも いつかは消えてなくなる だから 叫び続けろ 大地を 空を この地球(ほし)を 震わせろ 叫びが いつの日か 一筋の光の矢となり 太陽を貫く その日まで
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