第1章

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食料を与えられない乗員乗客は共食いを行うだろうが、全員死に絶える前に目的地に到達できれば、何とかなるとの思いからだった。 たとえ第一目標のような惑星であっても、後に引けない苦渋の決断。 私達が立てこもったあと船長は、操縦室やエンジンルームに通じる通路に、幾重にもバリケードを築き罠を仕掛けた。 そこまで厳重に防御されたにも拘わらず、船長の決断から5ヵ月程経った10日前、エンジンルームの機関長から連絡が入る。 「もう直ぐドアが破られる。 後は頼むぞ! 幸運を」 ドアを打ち破ろうとしている奴らは、最初素手でドアを乱打しているだけだったが、今は道具を持ち出してドアを打ち破ろうとしている。 私は副操縦士に声をかけ、自分も用意を整えた。 「ヘルメットを被り用意しろ」 この船はあと数十分で、第二目標の惑星の大気圏に突入する。 ドアを乱打されたとき船内放送でその事を告げたが、飢えという狂気に取り付かれたドアの外の奴らは、聞く耳を持たず、ドアを打ち破る作業を止めようとしない。 操縦席に座りベルトで身体を固定。 後ろからドアを無理やりこじ開ける音が響く。 ヘルメットの宇宙線と太陽光の防御用面を下ろし、宇宙船の窓のシャッターを開ける。 着陸時には通常シャッターを閉めるが、私達に襲いかかろうとする奴らの乱入を阻止するため、仕方なく開けた。 操縦に専念する私の耳に、宇宙線や太陽光を浴びた乱入者の悲鳴が背後から聞こえる。
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