第1章

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私達の故郷の星の人口が増えすぎ、それに食料の増産が追いつかなくなり、国民の不満が高まって内戦が起こる寸前まで追い込まれた。 それを解消するため、中央政府は別な星に移住する計画を実行に移す事にする。 それまでは費用の面で計画倒れに終わっていたが、背に腹は代えられず、計画にGOサインが出された。 私達が移住可能な惑星が数百個ピックアップされ、移民船が急ピッチで建造される。 最初、移民船に乗せられる乗客は眠らせて運ぶ計画だったが、睡眠中長時間宇宙線にさらされると、死亡率が無視できない数字になることが分かり、その計画は中止、乗員と同じように起きたまま運ばれる事になった。 そうして数百隻の宇宙船が完成。 訓練された乗員乗客が乗船して、故郷に残る人達の希望を胸に、割り当てられた移住先に向けて飛びだった。 宇宙船は方面別に数十隻ずつの船団を組み、割り当てられた移住先の星を目指す。 最初は順風満帆だった。 だが、故郷の星から最後の通信があった後、多事多難になる。 最後の通信により分かった事は、たとえ移住に失敗しても帰る故郷は無い、という事だった。 最後の通信は計画責任者からのもので、中央政府の統制が効かなくなった地方政府が争い始め、遂に核ミサイルのボタンが押されたとの連絡で、マイクの前にいるのであろう彼の背後からは、神に祈る声や、悲鳴と罵声、恐怖から狂ったと思われる人の笑い声が聞こえていた。 最後の連絡の途中、核弾頭の着弾によりおこる、キィ――――――ンという甲高い音が通信機から鳴り響き、以後、通信は途絶える。
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