第1章

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故郷からの通信が途絶えた後も私達は、他の船団と連絡を取り合いながら、移住先に向け進み続けた。 故郷からの通信が途絶えてから半年程過ぎた頃、他の船団から悲痛な連絡が次々と入り始める。 ある船団からは、大規模な流星群が船団に降り注いでいるとの通信が入り、その後の連絡が途絶えた。 別な船団からは、ブラックホールの重力圏に入ってしまい抜け出せない、ズルズルとブラックホールの方へ引きずられているとの通信があったあと、連絡が取れなくなる。 幾つかの船団からは、前途を悲観したらしい通信が入った。 彼らからの連絡は、どうせ死ぬのなら故郷で死にたいとの思いから、故郷の星に向けてUターンして帰路についたとの知らせである。 それでも連絡が入る船団は増しな方で、中には連絡が無いまま行方不明になる船団もあった。 他の船団だけでなく、私が乗り込んでいる船が所属する船団でも、事故が多発して離脱する船が次々と出る。 原子炉が爆発して木端微塵にに砕け散った船。 酸素発生装置がいつの間にか故障して、乗員乗客が全員窒息死した船。 隕石が移住区を貫き、乗員乗客が宇宙空間に放り出された船。 船内で暴動が発生し、操縦室に乱入した暴徒により、明後日の方向へ暴走して行方不明になる船。 船団長の命令を無視し、故郷へ向けてUターンする船。
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