第1章

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目的地の星に到着した船からも、悲痛な通信が次々と入る。 先住民から攻撃を受けているとの連絡を最後に、沈黙する移民船。 食料にできる生物がおらず、逆に食われているとの連絡を最後に、連絡が取れなくなった移民船。 目的の惑星が移住に適さないため離脱しようとしたとき、その惑星が所属する恒星の重力圏に捕まり、恒星に飲み込まれた移民船。 私の乗り組む船が所属する船団も、最終的に四散した。 船団長の命令という職務放棄により、船団に属していた船は皆、思い思いの進路を取る。 この船は船長の指示で、移民先に向けて航行を続けた。 だがこの船も不運に見舞われる。 最初の不運は、第一目標の移住先が水の惑星だった事。 見渡す限り水で覆われ、陸地と言えるものは、所々水深の浅い所にある岩場だけ、陸上生物の私達が移住できる場所ではなかった。 仕方無く第二目標に向かう。 その途中、2つ目の不運に見舞われる。 隕石が貨物室を貫き、食料の大半を宇宙空間に放り出した。 残った食料を、乗員乗客全員で均等に分けると、第二目標に到着する前に全員餓死する。 そこで船長は決断した。 残った食料の大半を、船の操船に絶対必要な主席操縦士の私と副操縦士の相棒、それにエンジンルームの機関長以下数名の機関員に渡し、操縦室とエンジンルームに立てこもるように指示される。
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