ナイトメア・ブラック

6/10

6人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
 *****  その日の夜、由衣はきらきらと波打つ液体の入った小瓶を目の前に、未だ躊躇していた。  もしかしたら騙されているのかもしれない。  けれども、この先ずっとこんな思いを抱き続けるくらいなら、ダメ元でもこの話に乗って損はない筈だ。  そう決心すると、後は少しの迷いもなかった。  ポンと蓋を開けると、由衣はその七色の輝きに向かって思いの丈を吐き出した。  最初は呟くように。  気持ちが募るほどに感情的となり、全部出し切った頃にはむせび泣く自分がいた。  見ると、何かの化学反応からか、小瓶の中の七色の液体は深い紫色に変化していた。   今の所、自分の身に何らかの変化が起こる気配はない。  悪夢の記憶もそのままだ。  本当に自分の悪夢は取り除けるのだろうか……  少し訝りながらも、翌日の放課後、由衣はまたあの店へと出向いていた。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加