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その日の夜、由衣はきらきらと波打つ液体の入った小瓶を目の前に、未だ躊躇していた。
もしかしたら騙されているのかもしれない。
けれども、この先ずっとこんな思いを抱き続けるくらいなら、ダメ元でもこの話に乗って損はない筈だ。
そう決心すると、後は少しの迷いもなかった。
ポンと蓋を開けると、由衣はその七色の輝きに向かって思いの丈を吐き出した。
最初は呟くように。
気持ちが募るほどに感情的となり、全部出し切った頃にはむせび泣く自分がいた。
見ると、何かの化学反応からか、小瓶の中の七色の液体は深い紫色に変化していた。
今の所、自分の身に何らかの変化が起こる気配はない。
悪夢の記憶もそのままだ。
本当に自分の悪夢は取り除けるのだろうか……
少し訝りながらも、翌日の放課後、由衣はまたあの店へと出向いていた。
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