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それでもやっぱり熱に揺れる表情さえ、純粋に綺麗だと思う。今は自分から手を伸ばし触れることができることを、泣きたいくらい嬉しく思う。頬に手を当て伝えきれない想いを全て込めて、呟く。
「好きだ、薫…」
「俺もだよ…」
優しく受け止められたりしたら、返って怯みそうになる。
「なんかやっぱり、あなたとこうしてるの信じられなくて。こんな日が来るなんて」
「嘘。いろいろ準備してたくせに」
いたずらっぽく笑う目尻に柔らかく唇をつける。そんなことさえちゃんと知っていてこの日を意識していたのだと思うと、ますます薫が可愛く思えてきつく抱きしめた。
もちろん前にうまくいかなかったことを踏まえ、ネットで色々調べローションだって買ってある。だってちゃんと繋がりたいから。もう手荒く求めたりしたくないから。優しく、愛したいから。
体を隔てる服が邪魔で裾から思い切りめくり上げて、ベッドの下に落とした。突然シーンが切り替わったように、暗がりに浮かぶような艶のある肌が目の前に露わになる。
腕の傷は痛々しく膨らみ、つい目を落としてしまう。薫はもう隠してはいないのに。愛おしむように傷を指と舌でなぞり、見上げると薫と目が合った。
「薫さんの全部、僕に見せてください」
「見たままだよ。ここにいる」
僕は欲張りだ。もっとあなたを見たい。もっとあなたを知りたい。もっとあなたが欲しい。
まとわりつく服を剥ぎ取るように脱がせあったから、腕が絡んでもどかしく、焦ったさが増した。一糸まとわぬ薫の伸びやかな肢体は艶めいていた。劣情を隠さないで見せてくれることにひどく興奮して身体の芯に突き抜けるような痺れを覚えた。
「俺も、純央が…欲しい。俺の中に、きて…早く」
目眩がするほど激しく、心が弾ける。そんなこと言われたら、優しくなんて、できない。
枷を外されたように、手は再び薫の体を隅々まで知り尽くそうと欲を抱き、舌はその肌の味を知り尽くそうと切望する。
素肌を隙間なく触れ合わせ、腕も足も絡ませる。うねる体を抱きとめる。互いの中心は擦れ合い、透明な蜜を溢れさせ周囲をぬるぬると濡らす。どちらのものかわからない体液が混じり、欲が形を成していく。
小さく声を漏らす悩ましい表情が愛おしい。綺麗な弧を描き反らせる、形のよい腰が艶かしい。
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