第4章  デジャヴの贈り物(続き)

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「仕事は? 締め切り近いの?」 「うぅん、別に。でも……」 「じゃあ、プライベートは? 忙しい?」 確かに、急いでいるのかもしれない。 しかし、一方的に畳み掛けてくる彼の質問に、 せっかく落ち着きかけていた私の神経がピリつき始めた。 「別に。だから……」 しかし、私のイライラは彼に吐き出されることはなかった。 「あぁ、ごめん。限界だ!」 独り言を叫んだ彼は、「OK。じゃあ」というと 一方的に電話を切ってしまった。 私は、プツッと嫌な音を発した携帯電話を耳から離して睨みつけると、 荒々しく鼻でフンッと息を一つついて、その視線をジュースへと移す。
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