第4章  デジャヴの贈り物(続き)

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そして、もちろんこの日も青空を白っぽく輝かせている太陽は、 これでもかとばかりに、容赦のない強い日差しを辺り構わず降り注いでいた。 しかし、新築八階建てマンションの六階にある母の部屋は、 冷房など要らないくらい風通しが良い。 しかも、暑さに強い母は、この日も冷房もかけず涼しい顔で私を迎えた。 「暑くないの? お母さん」 私は、自分の誕生祝いにも関わらず、 つい、習慣のように持ってきた手土産を仏壇にあげながら背後の母に言う。 「あなたみたいにワサワサ動かなければ、この風で十分よ」 あのね、私は駅からここまで十分以上も歩いてきたの!  相変わらずマイペースだなぁ。 内心でゴチながら、私は、仏壇の父の位牌に線香をあげ手を合わせる。
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