45人が本棚に入れています
本棚に追加
しかし、父への挨拶を終えて振り返ってみると、
ダイニングテーブルには、既にささやかな祝いの膳が用意されていた。
「私たちだけだから、これでいいわよね」
母は、冷蔵庫の中から小ぶりのシャンパンを取り出して私に見せた。
「うん、十分よ。ありがとう」
母の得意な太巻きと、私の好きな獅子唐の天ぷら。
だが、昼過ぎという時間を考慮してか、
太巻きも薄めに切られたものを二切れずつと、天ぷらも、やはり二本ずつ。
上品に、ちんまりと小皿に盛られている。
そして私たちは、シャンパンで乾杯をして
それらをゆっくりと摘まみ始めた。
最初のコメントを投稿しよう!