第4章  デジャヴの贈り物(続き)

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しかし、父への挨拶を終えて振り返ってみると、 ダイニングテーブルには、既にささやかな祝いの膳が用意されていた。 「私たちだけだから、これでいいわよね」 母は、冷蔵庫の中から小ぶりのシャンパンを取り出して私に見せた。 「うん、十分よ。ありがとう」 母の得意な太巻きと、私の好きな獅子唐の天ぷら。 だが、昼過ぎという時間を考慮してか、 太巻きも薄めに切られたものを二切れずつと、天ぷらも、やはり二本ずつ。 上品に、ちんまりと小皿に盛られている。 そして私たちは、シャンパンで乾杯をして それらをゆっくりと摘まみ始めた。
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