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私は、向かっているパソコンのキーボードに胸の内の不安を短く打ち込んだ。
――よんじゅう。
なんと、淀んだ響きだろう。
私は、慌ててそれを画面上から消すと、別のものを打ち込んだ。
――しじゅう。
うわぁ!
思わず心の中で叫んで顔をしかめた私は、
あり得ない事実でも突きつけられたかに左右にかぶりを振る。
もうここまでくると、醜悪の極みだ。
もちろん、誰しも生きていればこの年を平等に迎えるわけで、
それを「醜悪」などと言っては、
既に、それを迎えられた人々に申し訳ないことは十分わかっている。
しかし、たとえ秒読みであろうとも、
まだ、それが現実となっていない私の立場から言えば、
それはちょうど「中年」の奈落の淵に立っているようなもの。
出来るならば進みたくはないと抵抗するのも、無理からぬ事ではなかろうか。
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